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古今和歌集



今度は、新潮日本古典集成の新装版から、『古今和歌集』を読んだ。通して読むのは初めて。
歌の配列がよく考えられている。千年も前にこれだけの編集力があったとは驚きだ。
というか、文学は科学と違って、現代が一番進んでいるわけではないから、こういうことがあっても不思議ではないのかも。
紀貫之の編集方針は1本筋が通っていてぶれない。通して読むとよくわかる。
校注者の奥村恆哉の現代語訳が優れている。
学者が古典を現代語訳すると無味乾燥なものになることが多いが、奥村の訳は和歌の言葉遣いを上手に現代語に移している。

また、奥村は解説で『古今和歌集』の歌は明晰だという。あいまいな表現を使わない。言葉から明確にイメージがわく歌を選んである。この辺も貫之の批評眼が働いている。
例えば、「おぼろ月」という言葉が使われている和歌が全く採られていないという。

また、万葉集の大伴家持の有名な歌、「うらうらに 照れる春日(はるひ)に ひばり上がり 情(こころ)悲しも 独りし思へば」が採られていないという。(現代の教科書にも出てくる歌で、日本人好みの歌だから、ご存知の方も多いと思うが……。)
なぜなら貫之は、あるいは『古今和歌集』は、こういう感傷を嫌うからだという。
そう言えば、『土佐日記』も感傷を嫌っているよね。

『万葉集』が男性的で、『古今和歌集』が女性的という説は、江戸時代の国学者賀茂真淵が唱えたものだが、虚心に読むと『古今和歌集』は必ずしも女性的とは言えない、とぼくには感じられる。
貫之の編集のセンスと批評眼は、むしろ男性的であり、現代的である。

2018/09/20 19:09 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

バケツ・リスト



“Oh, no! My bucket list!”(「ああ! 私のバケツ・リストが!」)
2018年8月20日号『ニューヨーカー』誌に載っていた1コマ漫画にこんなコメントがついていた。
漫画では、パラシュートで飛び降りている人が、手からメモ用紙のようなものを落としている。このメモがバケツ・リストらしい。
調べてみると、bucket listとは、死ぬまでにやっておきたいことを書いたリストのことだという。
なぜバケツ・リストかというと、kick the bucketというイディオムがあり、これが俗語で「死ぬ」「くたばる」という意味だから。
首つり自殺をするとき、バケツを逆さにして乗り、それを蹴とばして首を吊ることから由来している。
昔、ドイツ人の英語の先生がkick the bucketという表現を使っていた。彼は、バケツを蹴とばして自殺するという語源も話してくれた。
だから、kick the bucketというイディオムは知っていた。
しかし、bucket listの意味は類推できなかった。
言われてみれば、なんだそうだったのか、と思うが、この距離が近そうで、なかなか遠く、越えられない。
これが語学の難しさであり、面白さでもある。

2018/09/10 15:08 | 語学COMMENT(0)  TOP

ナブッコ



出口治明の『「全世界史」講義Ⅰ』を読んでいたら、アッシリアの王ネブカドネザル2世は、イタリア語でナブッコといい、ヴェルディのオペラ『ナブッコ』になっているということを知った。『ナブッコ』はいわゆる「バビロン捕囚」を描いたオペラだという。
『ナブッコ』は、ユダヤ人の独立への憧れを描いているが、当時イタリアではオーストリアの支配からの独立機運が高まっていて、このオペラが受けたという。
だが、ぼくにはちっとも面白くなかった。
ストーリーがあまりにも単純だ。ナブッコはユダヤの神にあっさり負けて、ユダヤの神を讃えさえする。
ぼくに言わせれば駄作だ。
まずユダヤの神ありきのストーリーで、ここぞというときは神が解決してしまう。つまり奇跡が起きる。これはないよ。
指揮者が汗だくで、熱演しているのもいただけない。
珍しく日本人が出演しているのだが、残念だ。

というわけで、『ナブッコ』ファンの方には申し訳ないが、2時間ちょっとを無駄にした。

2018/09/06 22:12 | オペラCOMMENT(2)  TOP

文明と文化



「第一章ある文明の幻影」で言っていることが面白い。
文化は生き残るが、文明は滅びるというのだ。
これは卓見である。
蒙を啓かれた。

滅びた文明を知るには外国人が書き残したものを読むしかないという。
なぜなら当時の人たちは、あまりにも当たり前すぎて記録に書き留めていないからだという。
そこで渡辺は幕末から明治に日本にやって来た数多の外国人の記録を読み解いて、失われた文明について考察する。
いわゆる「古き良き時代」について考察しているが、「昔はよかった」的な書き方はしない。
渡辺は論理の人であり、情緒に流されないのだ。

大部の本で活字も小さいから通読するのは大変かもしれないが、拾い読みするだけでも面白いだろう。

2018/09/05 16:36 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

意外なところから出てくる



You Tubeを見ていてたまたま見つけた。
女の子がオーケストラを従えて歌っている。
大人が歌うボサノバだよ。
間奏のトランペット、テクニック的にはそれほどでもないと思うが、いい味出してる。
ボサノバになっている。
歌は上手いけどちょっと幼いところが残っているのがひじょうに魅力的。
アンドレア・モティスという。
現在は20くらいか。大人の女性になっている。

この当時はまだ15歳くらい。
共演しているベーシストのチャモロという人が、若い才能あるミュージシャンを育てているらしい。モティスの他にも、You Tubeでたくさん出てくる。

チャモロはスペインのジャズミュージシャンだ。
モティスもスペイン人。

以前紹介したイタリアの現代作家エレナ・フェランテを思い出す。
ノーマークの大きな才能が突然出てくるのがヨーロッパだ。ヨーロッパは奥が深い。


編集者や作家、音楽家など、文化に関わる人は、ヨーロッパの現代文学、映画、音楽などに目を向けたほうがいい。
アメリカだけ見てると底が浅くなる……と思うな。

2018/08/26 21:52 | 音楽COMMENT(0)  TOP

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