フランス・ギャルの訃報



1月8日付の読売新聞の訃報欄でフランス・ギャルの訃報を見た。70歳だという。残念だ。しかし、CDをかければいつでもギャルの声は聴ける。
歌手っていいですね。いつまでも作品が残るから。
ギャルについては、「初めての本当のバカンス」に書いたので、ここでは詳しく述べない。

夫に先立たれ、さらに娘も亡くし、引退していた。
アイドル時代にはこんな人生になるとは思っていなかっただろう。
でも、彼女の歌は残る。

2018/01/08 17:27 | 音楽COMMENT(2)  TOP

ビーチ・ボーイズのパーティー



『ビーチ・ボーイズ・パーティ』というアルバムが図書館にあったので借りてみた。これは1965年に出た『ビーチ・ボーイズ・パーティ』のフルバーションである。65年のアルバムは、編集して1曲ずつ入っているが、これは同じ曲が何曲も入っている。
65年のアルバムは一番出来のいいテイクを選んで編集しているようだが、今回のアルバムは、編集前の全録音を収録しているのだ。彼らの会話も曲の合間にたくさん入っている。とてもリラックスした雰囲気で、楽しそうな様子が伝わってくる。
伴奏はアコースティック・ギターとパーカッションと手拍子とハーモニカくらい。歌い方も自由で、途中でやめたり、オペラ風にふざけた歌い方をしたりしているし、ボブ・ディランの「時代は変わる」などは、物まねしたりする。そう、彼らのオリジナル曲は1、2曲しかなく、あとはビートルズの「悲しみをぶっとばせ」「恋する二人」「テル・ミー・ホワイ」、ストーンズの「サティスファクション」(65年版には未収録)など、他のミュージシャンのカバー。これがなかなかいいのですよ。
ぼくたちが学生時代に友達の下宿に集まって、ギターを弾きながら、ワイワイやっていたときのような感じだ。1つ違うのは、ギターだけの伴奏でも彼らは歌が上手いし、ハーモニーもきれいだという点だ。

当時は年に何枚のアルバムを出すという契約になっていたらしく、このアルバムは、枚数をこなすために急遽作ったらしい。パーティということにして、会話も入れて、楽しく歌っているという雰囲気にすれば面白いし、ギター1本の伴奏なら、レコーディング時間がかからない。やっつけ仕事のように思われがちだが、彼らは同じテイクを何度も録音していて、その中から選んでいた。
だから、65年当時のアルバムは、ヒットチャートで、イギリスで3位、アメリカで6位を記録している。
いまから見ると、これはアンプラグドのハシリだとも言える。アンプラグド・アルバムが流行るのはクラプトンあたりからだから、ずっと後なのだが、ブライアン・ウィルソンが既にやっていたとも言えるのだ。苦し紛れだったが。
しかし、苦し紛れでも、こういうアルバムが作れるのが、ブライアン・ウィルソンなのだ。ブライアンの先見性に脱帽。

2017/12/30 22:55 | 音楽COMMENT(0)  TOP

春を信じて 補遺



レストランでランチを食べていたら、ジャズピアノが流れてきた。
メロディを聞いて、“You Must Believe in Spring”だとすぐに分かった。
ピアノだけの演奏だった。
音がいいから新しい録音だろう。少なくともビル・ヴァンスのピアノでないことは、ぼくにも分かる。
“You Must Believe in Spring”について書いた直後だったので、なんとなくうれしかった。

このブログで何度か書いていると思うが、偶然はかさなるものなんですね。

2017/11/24 18:22 | 音楽COMMENT(0)  TOP

春を信じて



CDラジカセの調子が悪いので、久しぶりに電機店のオーディオコーナーに行った。安くて性能のいいプレーヤーがたくさん出ていた。以前から欲しかった、USBメモリーがさせるものを買った。
CDやUSBの音がいいのはもちろんだが、昔録音したテープを聴き返したら、わりといい音で再生された。これはいい、とあれこれかけていたら、ビル・エヴァンスのアルバムYou must believe in springを録音したテープが出てきた。
何気なく聞いていると2曲目のYou must believe in springのメロディに聞き覚えがある。これって、『ロシュフォールの恋人たち』に出てくる「マクサンスの歌」が元歌だったんですね。ビル・エヴァンスのアルバムは昔から聞いている。You must believe in springのメロディも当然馴染みがある。だから、後年ぼくは『ロシュフォールの恋人たち』に出会ったとき、すぐに好きになったのだ、と今気が付いた。
You must believe in springは、直訳すると「あなたは春の存在を信じなければならない」という意味。つまり、「春は必ずめぐって来る」ということ。
このメロディには英語の歌詞がついている。今は雪が降っていて寒いけれど、必ず春がやってくるように、必ず愛もやって来る……といった内容だ。なんだか、シェリーの「冬来たりなば、春遠からじ」みたいだなと思って読んでいくと、なんと、シェリーの句をそっくり引用しているではないか。びつくり。
歌い出しはこんな風。
When lonely feelings chill
The meadows of your mind,
Just think if Winter comes,
Can Spring be far behind?
大意を取ると、「孤独で心が寒い時は、冬の次には春が来る、と考えたらどうなか」くらいか。If Winter comes, can Spring be far behind? (冬来たりなば、春遠からじ)がシェリーからの引用だ。冬と春が大文字になっているのは、擬人化しているから。Can Spring be far behind?は、いわゆる修辞疑問。「冬さん」が来るなら、「春さん」だってずっと遠くにいるだろうか(いやいない、すぐ近くにいるだろう)という感じですかね。

2017/11/17 22:11 | 音楽COMMENT(0)  TOP

ジョニ



しばらくニューヨーカーを見ていなかったので、図書館へ行った。いつも読む書評記事を見ていたら、ジョニ・ミッチェルの伝記の書評が載っていた(2017年10月9日号)。ジョニの歌をたくさん引用しながら、ジョニのことを上手に紹介している。ジョニの伝記については、あまりコメントしていないような気がするが。ジョニ・ミッチェルについて語り出すと、自分がどのようにジョニの歌を聴いてきたか語りたくなるらしい。
 実はこの間、『ジョニ・ミッチェルという生き方』という本を借りたばかりだった。
長年ジョニの歌を聴いてきているのに、ジョニについてほとんど何も知らない。そこで、本でも読んでみようかと思い立ったのだ。『ジョニ・ミッチェルという生き方』も、結局は、筆者とジョニの関わりについて書いている。

新しい伝記のタイトルはReckless Daughter: A Portrait of Joni Mitchellというもの。この本の題は、Don Juan’s Reckless Daughter(『ドンファンのじゃじゃ馬娘』)という1977年のジョニのアルバムタイトルからとっている。ベーシストのジャコ・パストリアスが参加している作品で、サウンドはジャズに傾いている。
ジャコのほかにも、サックスがウェイン・ショーター、ドラムがジョン・ゲラン(シンガーズ・アンリミテッドのアルバムなどで叩いている)、ギターがラリー・カールトン、パーカッションがドン・アライアスにアイアート・モレイラ(いずれもチック・コリアのバンドで活躍。アイアートは名盤『リターン・トゥ・フォーエヴァー』でドラムをたたいていた。奥さんのフローラ・プリムが冒頭のスキャットを歌っている)、そしてバックコーラスがチャカ・カーンだ。
詩の内容も、初期の頃に比べて、かなり変わってきている。ニューヨーカーの記事は、ジャズのサウンドになってから「歌詞が無限に長くなった」と言っている。長いというより饒舌になってきているような気がする。文学的な引用が多くなり、アイロニーが強くなってきているようにも感じる。もともとジョニは、感受性豊かで、文学的な語彙を駆使して歌詞を書いていたし、アイロニーも、哀しみも感じられたのだが。
『ドンファンのじゃじゃ馬娘』に収録されている歌の歌詞は、現代詩みたいで、ぼくは面白いと思う。アルバム『逃避行』『ミンガス』にもジャコが参加している。この2枚の歌詞も面白い。
ぼくは、ボブ・ディランよりも、ジョニ・ミッチェルの方が文学的だと思う。ノーベル賞、ボブがもらえるなら、ジョニだって貰えるんじゃないの。まあ、ノーベル賞は政治にコミットしていないと貰うのは難しいのかもしれないが。(だから村上春樹は貰えない?)
ニューヨーカーの記事によると、『ドンファンのじゃじゃ馬娘』の2曲目Talk To Meはボブ・ディランの子どもっぽさがテーマだという。「私たちは~ついて話せるわ」と言って、いろいろな人の名前が挙げてあるので、ジョニの歌詞の訳詞では時々あることだが、訳注がついている。真ん中辺で、「チャップリンの映画について、あるいは、Bergman’s nordic blues」について話せるわ、と歌っているところがある。Bergmanに「イングリッド・バーグマンのことか?」という注がついているが、このBergmanは映画監督のイングマル・ベルイマンのことだろう。ベルイマンの映画って、暗いですよね 、『処女の泉』とか。それでnordic bluesと言っているのでは。直前がチャップリンの映画ですしね。
イングリッド・バーグマンも、イングマル・ベルイマンも共にスウェーデン出身。英語ではどちらもBergmanと書くし、発音はバーグマン。だが、日本では、女優はアメリカ式にバーグマンで、監督はスウェーデン式にベルイマンなのだ。
 しかし、『ドンファンのじゃじゃ馬娘』に付いている訳詞はよく出来ている。注もたくさんついているが、1977年、インターネットもない時代に、ここまでよく調べたものだと思う。

2017/11/04 21:02 | 音楽COMMENT(2)  TOP

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