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まぼろし電話



必要があって、大野晋の『源氏物語』を読む。
話の進め方が論理的で、てきぱきしている。
大野晋という人は本当に頭がいい。
自分が書く内容を非常によく理解している。加えて、論の進め方、例の挙げ方、ストーリーの要約の仕方などが、いちいち決っている。無駄のないクレバーな文章だ。
源氏物語の成立の過程、構造などが分かりやすく、いや、スリリングに書かれている。(読んでいただければ、「スリリング」という形容に得心していただけるはず。)

しかし大野さん、ただの碩学ではない。
男女間の恋愛心理をよくご存知だ。
いやあ、ここまで深く読みますかねえ。
源氏物語は男女間の色恋を扱っているのだから、その辺のことがわからずに研究するというのは、ありえないわけだが、研究者がみなこんなふうではないでしょうね。

この本の解説は丸谷才一が書いている。「まぼろしの電話」というタイトル。
これがいい。
大野が亡くなったあとに書かれたものだ。『源氏物語』をめぐる2人の友情を語り、友の死を惜しむ、見事な追悼文になっている。
こういう友情、うらやましいですね。
大野の『源氏物語』、一読をお勧めする。
そして、丸谷の解説もぜひ読んでいただきたい。
最後の1行が泣かせる。

2011/11/23 18:58 | 本の紹介COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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