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かさなる偶然



長年本を読んでいると、偶然がかさなることがときどきある。

図書館で適当に検索していたら、加藤周一著作集に出くわした。
何が収められているかわからないまま適当に選んだのが「近代日本の文学者の型」という副題がついている第18巻。
ここでは様々な書き手について語っているが、最初に収められている「鴎外・茂吉・杢太郎」が面白い。
そのほか、石川淳、辻邦生、中村真一郎、大岡昇平などの文学者についても書いている。
中野好夫、林達夫、一海知義、吉川幸次郎、湯川秀樹などについての文章も収められている。加藤は、これらの人々が書くものも、広い意味で文学と捕らえているようだ。(湯川秀樹は自伝的文章、随筆、短歌を取り上げている。)

で、著作集の編者が書いている18巻の「『あとがき』に代えて」によると、この巻だけ未刊のまま残されていたそうだ。加藤が著書『鴎外・茂吉・杢太郎』を完成させてから、それを18巻に収録し刊行する予定だった。しかし、執筆できずに亡くなったという。
ここに収められている「鴎外・茂吉・杢太郎」はNHKの人間大学で話したことをまとめたものだ。
加藤周一の著作集は1期15巻、2期9巻あるが、加藤が「あとがき」を書いていないのはこの1巻だけだという。
特に選んだわけではないのに、偶然、加藤が亡くなった後に出た唯一の巻に出くわしたわけだ。そして、いまなぜ加藤周一かというようなこともなく、ただ読んでみようかなということで、加藤周一著作集を選んだわけだが、このあいだ書店の新刊コーナーを見ていたら、加藤周一に関する本が2冊も出ていた。うち1巻は伝記。

じつは、ぼくは加藤周一著作集を全部持っていた。18巻が未刊だったことは知らなかったが。それは、買っただけで、1ページも開かず段ボール箱に入っていたから。
震災前だったか、あとだったか覚えていないが、『夕陽妄語』が収めされている第21巻と第22巻を残して、残りは処分した。

今頃図書館で借りて読んで、面白いと言っているようでは、情けないんですが、本の置き場所がないと、こういうことになります。
トラジコメディ?

2012/01/29 18:32 | エッセイCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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