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ランメルモールのルチア



ドニゼッティのオペラ『ランメルモールのルチア』を見た。
オリジナルはイタリア語だが、これはフランス語版。
ドニゼッティがフランスに移住したあとに作られたものだ。
イタリア語版が上演されることが多く、フランス語版は珍しいという。リヨン国立歌劇場での上演なので、フランス語で歌われたようだ。
ぼくの好きなソプラノのパトリツィア・チョーフィがルチア(フランス語ではリュシー)を歌っているので見てみた。相変わらず、歌も演技も上手い。小柄ながら、大柄な共演者たちを圧倒する存在感と凄みがある。
演技の緊張が解けて、カーテンコールのときに、にっこりと笑う、その笑顔が魅力的だ。
それまでの緊張が解けて、出演者が素に戻るカーテンコールは、オペラの中でぼくの好きな場面のひとつだが、ここでのチョーフィーの笑顔はひときわよい。

このドニゼッティのオペラは、イギリスの歴史小説家ウォルター・スコットの歴史小説『ラマムアの花嫁』が原作だ。実話に基づいた話だという。
政略結婚により意に沿わない男と無理やり結婚させられるリュシー。兄の策略により恋人との仲を割かれてしまう。だまされていたと気づいたときは、すでに兄の決めた男と結婚していた。そこへ恋人のエドガールが現れ、リュシーを裏切り者と非難する。リュシーはショックを受け、正気を失い、死んでしまう。さらに、リュシーが裏切っていなかったことを知った、恋人のエドガールも短剣で胸を刺して死ぬ。
シェークスピアの悲劇に見られるような、ひじょうにドラマチックなストーリー展開で、2時間40分という長さを感じさせない。ぼくは一気に見た。
ただ難をいえば、すべてが夜のシーンで、画面が暗い。
それに、舞台があまりにもシンプル。これでは、舞台装置担当者が腕を見せるところがないだろう。(上演当初資金不足だったらしく、当時から舞台装置をほとんど置かない演出、というか脚本の段階からシンプルな舞台になるようにしていたようだ。このフランス語版は、上演当初の舞台装置を踏襲しているので、こういう風になっているらしい。いずれにしろ、このストーリーで派手に演出することはできないと思うが。)

イタリア語版では、ステージ上に、葉の落ちた大木が1本立ち、その奥には大きな満月が皓々と輝いていた。また、たとえばルチアの恋人エドガルドは、肩から赤いタータンチェックの大きな布を掛けていたし、ルチアの兄は同じく青いタータンチェックの布を掛けていた。舞台がスコットランドということでこういう衣装になったものと思われる。暗い中にも、一部鮮やかな色を使っていて、映像的にはこちらのほうが見栄えがするように思う。

正気を失ったルチアを歌うステファニア・ボンファデッリの演技には、鬼気迫るものがあり、ちょっと怖い。

2012/03/11 12:19 | オペラCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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