ルパン、最後の恋



2012年の5月、モーリス・ルブランの遺作、ルパンシリーズの最後の作品が見つかって話題になった。
フランスで出版されて、9月には翻訳が出た。
それが本作『ルパン、最後の恋』だ。
この作品の存在は1980年頃から一部の人たちには知られていたらしい。
ルブランの息子クロードが出版を望まなかったという。
理由は『奇岩城』のような傑作ではないからということだった。
息子夫婦が亡くなり、孫娘のフロランスが祖父の残した膨大な書類を引き継ぐ。
祖父の遺品を整理していたフロランスが、『ルパン、最後の恋』の原稿を発見した。
2011年のことだ。そして、2012年に出版の運びとなる。

『水晶栓』や『奇岩城』には及ばないかもしれないが、これはこれでなかなか面白かった。
ルブランは、まず大雑把にストリーを書いて、だんだん肉付けしていくタイプだったという。
何度か推敲したあとはあるようだが、十分に書き込んでいないところも確かにある。しかし、それでもぼくは十分に楽しめた。悪役が少し役不足の感は否めないが。
おそらくこのへんは、さらに書き込むつもりだったのだろう。

登場人物の名前などが、相変わらず舌をかみそうなものが多い。
ルブランは最後までルブランだ。
たとえば、『奇岩城』に出てくる高校生探偵イジドール・ボートルレ君などが、言いにくい名前(フランス人にはどうなんだろう)の典型だが、『ルパン、最後の恋』でもたくさん出てくる。
モンカルメ夫人、レルヌ大公、その娘のコア・ド・レルヌ、コアを守る大尉のアンドレ・ド・サヴリー、《人殺し三人組》はフイナイール、プス=カフェ、ドゥーブル=チュルク、予審判事のフルヴィエ、セルロス伯爵などなど、こうして書き写していても、注意しないと書き間違えそうな名前ばかりだ。地名でも、ティユール城とか、ヴィヴアロワ、フォクロンなど言いにくいものが出てくる。

こうした地名人名が好きなぼくとしてはうれしい限りだが、普通の読者はどうなんだろう。

2012/12/03 10:39 | 語感COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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