巴里茫々



「巴里茫々」と「カラコルムふたたび」の2作を収める。
「巴里茫々」は、『どくとるマンボウ航海記』の旅行の途中で、パリの辻邦生夫妻を訪れたときの回想と現在が混然一体となっているような話。登場人物や場所は実名で出てくるが、エッセイというより小説といったほうがいいような体裁の文章だ。
北杜夫はこれを書いているときとうに70を過ぎていたはずだが、文体がみずみずしい。
今はなかなかこういう文体は読めないなあ、と思いながら読んだ。
「カラコルムふたたび」も、北が『白きたおやかな峰』を書くことになったカラコルムに老齢になってから再び訪ねるというもの。
これもエッセイのような、小説のような話。

丸谷才一の『文学のレッスン』を読み返していたら、「エッセイ」の項で、今日では小説がエッセイを取り込んでいるというようなことを言っていた。
プルーストも、ジョイスもそうだという。
なるほど。北杜夫もこの流れの先端にいるのか、と腑に落ちた。

2014/11/25 21:40 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

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