ヘミングウェイを仲立ちとして



昨年の暮れから読み始めた小川国夫全集が今やっと第9巻まで来た。
第8巻までで小説の部は終わり、第9巻からはエッセイや紀行文等となる。
第9巻には自伝的エッセイが収められている。小説の巻のあとがきでも少し触れていたが、小川はヘミングウェイの影響を受けているという。第9巻の自伝的エッセイでは、具体的にヘミングウェイの作品を挙げて、影響を受けたことを語っている。
1巻から8巻までの小川の小説は短編が多い。聖書に題材をとった「或る聖書」と「王歌」は中編だが、これも短篇をいくつか並べた構成になっている。(全集に収められていない長編が3冊あるが、これは全集を読み終えたときのお楽しみとしてとってある。)
短編が多いなとは思っていたが、ヘミングウェイの影響を受けているとは気づかなかった。作風がずいぶん違うせいか。
ぼくは、アメリカ文学はあまり読まない。ポーとメルヴィルくらいかな。
ヘミングウェイは学生の時、英語の授業でIndian Campという短編を読まされたことがある。短い文を畳み掛けてゆく独特の文体だったように記憶しているが、内容は覚えていない。

もう一人、ぼくが好きな作家でヘミングウェイの影響を受けている書き手にマルグリット・デュラスがいる。『静かな生活』と『太平洋の防波堤』が一番影響を受けているという。ぼくは『愛人』や『モデラート・カンタービレ』も好きだが、一番のお気に入りは『太平洋の防波堤』なのだ。
ということは、ヘミングウェイは読まなくても間接的に影響を受けているというわけか。

このあいだNHKテレビ「スペイン語講座」を見ていたら、平岳大がパンプローナに行っていた。ここは牛追い祭りが有名で、ヘミングウェイの『日はまた昇る』の舞台になったところだ。ヘミングウェイ自身この町が気に入って、何度も訪れたという。
で、図書館でThe Sun Also Risesを見つけたので借りてきた。

そして、ユーミン。アルバムVoyagerの8曲目にTROPIC OF CAPRICORNという歌が入っている。この歌の最後で「海流の中の島々」という歌詞が出てくる。これもヘミングウェイ。ヘミングウェイの作品 Islands in the Streamの日本語訳のタイトルだ。(正確には、小説の邦題は『海流のなかの島々』と、「中」が平仮名。)
ちなみに、Tropic of Capricornは南回帰線という意味。北回帰線は、Tropic of Cancerという。ヘンリー・ミラーの小説に『北回帰線』、『南回帰線』ともにありましたね。内容が猥褻なので英米ではしばらく発禁だった本。ぼくが高校の頃は新潮文庫で翻訳が出ていて、読んでいた同級生もいた。もっとも、当時の翻訳は猥褻な部分はカットしていたようだ。
Capricornは山羊座、 Cancerは蟹座です。Tropicは、ここでは回帰線という意味。
そういえば、昔、南正人というシンガーがいた。
『回帰線』というアルバムがありましたね。けっこう好きでレコードを繰り返し聴いていたのを思い出した。

ヘミングウェイを仲立ちとして、世界が広がっていく。

2016/11/29 21:45 | エッセイCOMMENT(0)  TOP

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