さくら



歌集『さくら』は2010年刊。父の認知症や自身の鬱病など、まだ描き方が熟していない、というか、表現を模索しているところがある。そしてこの模索の先に『馬上』があるような印象を受ける。

認知症になった父親を介護する日々の思いを、日常の何げない場面を通して描く。そこはかとないユーモアと淡々とした描写から、かえって父への愛情がにじみ出てくる。作者はほんとうに父親が好きだったんですね。
一首だけ引く。

このうへもなく愛されし罰として見届けん父の惚けきるまで

それにしても歌人というのは難しい言葉を知っていますね。
たとえば、「にがれむ」。これは「(牛などが)反芻する」という意味。
たとえば、「かまつか」。これはバラ科のウシコロシの別名。その木材を鎌の柄にするところから「かまつか」というらしい。わりと高い木で、赤い花がいっぱいに咲く。

菠薐草は、「はりょうそう」と読む。ホウレンソウのこと。
尉鶲は、野鳥の「ジョウビタキ」。
こんな漢字どこで覚えるのかな。
歌人もなかなか大変だ。

2017/03/25 22:45 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

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