くずし字を読む



7月に書店で見つけて迷わず買った『芭蕉自筆 奥の細道』が、やっと読み終わった。右ページに芭蕉自筆の本文の写真(影印)を掲げ、左ページに影印の文字の配列の通りに翻字してある。翻字というのはくずし字を活字に起こして読めるようにすること。
『奥の細道』は繰り返し読んでいるので、内容はよく知っている。しかし、芭蕉の自筆で読むと、芭蕉の書き癖などが分かって、これはこれでまた面白い。

解説によると、芭蕉の自筆原稿から弟子が書き写した原稿にも、字の読み間違いや、読めなかった字をそのまま書いている箇所があるという。昔の人はくずし字をスラスラ読めたのではないかと思っていたが、そうでもないのですね。ちょっと安心した。

実は今年の3月くらいから、くずし字に凝っていて、少しずつ読んでいる。だんだん読めるようになってきてはいるのだが、次から次へと読めない字が出てきて閉口していた。
しかし、くずし字を書いていた昔の人でも、読み間違えたり、判読できなかったりしていたのだから、始めてから半年くらいしかたっていないぼくにスラスラ読めるわけがないのだ。楽しみながら長く続けよう。

最初はアダム・カバットの『妖怪草紙』でくずし字を覚えた。この本、繰り返し読んだ。それから中野三敏の『くずし字で「百人一首」を楽しむ』を読み、『くずし字で「おくのほそ道」を楽しむ』を読んだ。中野さんはこのほか、くずし字で楽しむシリーズとして『徒然草』と『東海道中膝栗毛』を書いている。これも読む予定。

中野さんはこのほか江戸関係の著作が多く、研究者としても、一般読者への紹介者としても、面白いものを書いている。というか、ぼくと相性がいい。
江戸時代の文筆家、伴蒿蹊(ばん こうけい)の『近世畸人伝』(きんせいきじんでん)という書物がある。有名人から乞食まで、江戸時代に生きた人々の短い伝記が多数収められている。これを編集しているのも中野さんだ。『続 近世畸人伝』と合わせて、中公クラシックスから出ている。
伴蒿蹊という名前、倫理社会で日本思想史を習ったか、日本史で江戸の文化史を習ったかした方なら、心当たりがあるかもしれない。
ぼくは以前から『近世畸人伝』に興味を持っていて、読んでみたいと思っていた。中野さんが編集して、新書版で手軽に読めるようにしてくれていたのだ。ありがたい。

2017/09/16 17:36 | エッセイCOMMENT(0)  TOP

 | BLOG TOP |  NEXT»»