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ランゲルハンス



大学受験の時、理科は生物を選択した。膵臓のところで、ランゲルハンス島という名が出てくる。この名前が妙に印象に残った。村上春樹もそうだったのだろう。『ランゲルハンス島の午後』(1986)というタイトルのエッセイ集がある。
ランゲルハンス島とは、膵臓の内部に散在する細胞群である。形が島に似ているので、発見者のドイツの病理学者パウル・ランゲルハンスにちなんで、「ランゲルハンス島」と呼ばれている。
 また、『ランゲルハンス島航海記』という本もある。こちらは、ノイロニムス・N・フリーゼルという人が書いた架空の航海記である。日本では1992年に翻訳が出ている。
ドイツ軍艦ゼントー号による数多くの群島からなるランゲルハンス島を調査した地誌ということになっている。ランゲルハンス島は膵臓の内部にある細胞の名前であるから、ゼンドー号に同行して本書を著した探検家フリーゼルも実在の人物ではない。
この辺、ウィキペディアに寄りかかって書いている。
この本、ドイツ語からの翻訳なのに、日本語版のウィキにしか載っていないのはどういうこと? ドイツ語版と英語版くらいあってもいいのでは。うーん、あやしいなー。
ということで、原書は村上春樹の本より古いのか新しいのか分からない。図書館にあったので、貸し出しを申し込んだ。現物を見ればわかるだろう。

しかし、だ。入澤康夫がずっと前に『ランゲルハンス氏の島』(1962)という散文詩集を出している。これは確かだ。この間、図書館で『入澤康夫〈詩〉集成』という大部の本を見つけた。その最後の方に載っている。
入澤の「ランゲルハンス氏の島」には、ランゲルハンス氏と妻と令嬢が住んでいる(ランゲルハンス氏は旅行中で出てこないが)。ほかにもテロリストがいたり、画家がいたり、酒場があったりする。語り手は、令嬢の家庭教師である。ヨーロッパのどこかの島のよう。書き方が、フランス文学の影響を強く受けているようだ。
村上春樹も「ランゲルハンス島」を実際の島のように描いている。ランゲルハンスという響きは、日本人にとって魅力的だ。どうしても実際の島を描いてみたくなるのだろう。

『入澤康夫〈詩〉集成』を拾い読みしていたら、『倖せ それとも不倖せ』(1955)という詩集が目に付いた。このフレーズどこかで聞いたことがあるような……調べてみると、カルメン・マキ『山羊にひかれて』という歌に出てくる。作詞は寺山修二。寺山は他の作品を利用するのが得意だったようだ。(確か、引用が過ぎると、問題になったことがあると思う。)

入澤の代表作『わが出雲・わが鎮魂』は、エリオットの『荒地』の日本版ですね。

今まで入澤の詩を読んだことははずないのに、「失題詩篇」の歌い出しは、確かに記憶にある。アングラ劇で使われていたような気がするな……寺山修二あたりの。

心中しようと 二人で来れば

ジャジャンカ ワイワイ

2018/02/13 18:47 | エッセイCOMMENT(0)  TOP

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