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ドン・キホーテへの旅



ずいぶん以前から『ドン・キホーテ』に興味があった。
面白そうだと思っていた。
ただ思っていただけではない。
いろいろと読んでみたりもした……というか、読もうとした。
しかし、これといった翻訳に出会わなかった。
最初は岩波書店の翻訳で読んだ。今は岩波文庫になっているが、当初はハードカバーで、大きくて立派な本だった。
ところが、翻訳の日本語がいけない。1ページの中に同じ接続詞が何度も出てきたり、今現在ぼくたちが使っているようなカタカナ言葉が出てきたりする。
訳者は有名な先生で、NHKのスペイン語講座で講師をしていたこともあったと思うが、日本語のセンスがぼくには合わなかった。(最近、彩流社から出た『ドン・キホーテ』の翻訳の「まえがき」では、スペイン語界の重鎮を批判できないのだろう、カタカナ語を取り入れた「斬新な訳」とコメントしていた。)
で、1985年に晶文社から出ていた会田由の訳(現在はちくま文庫)を読んでみたが、これも途中までしか読めなかった。やはり日本語がしっくりこない。
そうこうしているうちに、「いい翻訳がなくて『ドン・キホーテ』は正編しか読んでいない」と丸谷才一が発言しているのに出くわした。
そうか、丸谷もぼくと同じように感じているのかと、思わず膝を打った。
そこで、丸谷が「読める翻訳」として挙げていたのが、堀口大學訳の『ドン・キホーテ』だった。これが正編しかないので、丸谷は先のように発言したわけだ。
これは知らなかった。
さっそく古本で注文する。
なるほど読める日本語で書かれている。
堀口はスペイン語も読めたらしく、スペイン語から翻訳したと「まえがき」で書いているが、フランス語訳を参照したとも書いている。どちらかというとフランス語訳からの重訳の可能性が高いでしょうね。
この辺のところは、彩流社版『ドン・キホーテ』の「まえがき」でも、やんわりと指摘しているような気がする。
しかし、「読める日本語」になっているのは今のところ、堀口のものだけだろう。
2005年には、新潮社から超訳風の翻訳が出ているし、新訳と銘打っている彩流社版(2012)もあるわけだが。

新潮社版と彩流社版の日本語については次回に譲る。

2014/09/17 17:16 | 語感COMMENT(0)  TOP

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