夏草や



暑いので遠出せず、家の近くを歩く。
並木道を歩いてゆくと、左手に芝生が植えてある広いスペースがある。大きなビルの1つ分くらいはあるだろう。車が入れないように柵がしてある。芝生を横切る人もいないのか、人が踏み荒らした跡もなく、芝生は青々と茂っている。芝生の上には、カラスが2羽、離れてじっと立っている。
ぼんやりとカラスを見ていたら、思い出した。
ここには○○会館が建っていたのだ。

○○会館では、様々なアーティストを見た。
最初は、5人だった頃の赤い鳥。それから、2人だったときのアリスや、ガロの3人、そして、なぎらけんいち(なぎら健壱)などなど。
なぎらけんいちの時は、2人の若い男が通路をつかつかと歩いてきて、そのうちの1人がステージに向かって暴言を吐いた。これに対してなぎらが、凄みをきかせた声で、文句があるならここに上がってきてもらいましょうか、と言った。人前に出る勇気がなかったのか、彼らはすごすごと引き下がった。何を歌ったかなど全く覚えていないのに、こういうことは覚えている。

セルジオ・メンデスも見た。
化粧品のキャンペーンで来たときに演奏したのだ。あの頃はブラジル’66だったか’77だったか。キャンペーンガールの浅野ゆう子も来た。セルメンは、なぜかテープに合わせて演奏した。ドラムが出だしで少し間違えたのを覚えている。テープの音とドラムの動きが合わなかったのだ。

もう少しあとでは、パコ・デ・ルシア&チック・コリア・バンドを見た。パーカッションはドン・アライアス。エレクトリック・ベースは残念ながら名前を覚えていない。パコのギターに合わせて、速いフレーズをバリバリ弾いていたから、名のあるプレーヤーだったに違いないのだが――。
少し早目に行ったら、4人が楽屋口でたむろしているところに出くわした。小さな会館だったから、正面入り口と楽屋口が割と近かったのだ。ドン・アライアスが大きいな、と思ったのを覚えている。
このときは空席が目立った。
せっかく大物の2人がこんな田舎町まで来たのにと、ちょっとがっかりした。

ここで、一句拝借。

夏草や――

2016/07/03 15:33 | エッセイCOMMENT(0)  TOP

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