陸を敷く



高田渡の代表作に『生活の柄』という歌がある。
初めて聞いたとき、高田渡はすごい詩人だな、と思った。ちょっとやそっとではこんな詩は書けない。「陸(おか)を敷く」なんてフレーズは出てこないだろう。(布団を敷く、からの連想で、地面に寝るということか。)
当時、フォークシンガーは自分で作詞作曲したものを歌うのが当たり前だったから、これは高田の作品だとぼくは思い込んでいた。

ずっと後になってから、山之内貘という詩人が面白いと誰かが書いているのを読んで、彼の詩集を買って読んだ。詩集を読んでいくと、見覚えのある詩に出くわす。それが「生活の柄」だった。なんだ、山之内貘の詩だったのかと、詩のレベルの高さに得心が行った。

You Tubeで検索すると、テレビ番組からとったと思われる映像には、作詞作曲高田渡とあるが、これは間違い。歌詞サイトなどでは、詞は山之口貘となっている。メロディは高田が書いている。高田は、歌いやすいように、少し言葉を変えている。
高田の歌で聴くと、この詩の良さが分かるのも確かだ。音声に立ち上げるとまた違った魅力がある。
オリジナルの詩を見ながら、高田の歌を聴いてみてほしい。
山之口貘の詩の良さが何倍にもなる。

歩き疲れては、
夜空と陸との隙間にもぐり込んで寝たのである
草に埋もれて寝たのである
ところ構わず寝たのである
寝たのであるが
ねむれたのでもあったのか!
このごろはねむれない
陸を敷いてもねむれない
夜空の下ではねむれない
揺り起されてはねむれない
この生活の柄が夏向きなのか!
寝たかとおもふと冷気にからかはれて
秋は、浮浪人のままではねれむれない


岩波文庫から新しく出た『山之口貘詩集』を買って読んだので、貘さんのことを思い出した。

2016/07/14 16:59 | エッセイCOMMENT(2)  TOP

コメント

Re: タイトルなし

山之口貘は最近では海外でも評価が高いらしいですよ。高田渡の歌って、同じようなメロディなんですが、なぜか聴いていて飽きないんですよね。妙に引きつける所があります。

No:20 2016/07/15 21:03 | desultory #- URL [ 編集 ]

けっこう、現代詩は読んでいて、山之口貘の名前もしっていたけれど、こんな詩を書く人だったのね。高田渡も名前は知っていたけれど、こんな歌を歌う人だったのね。なんかスキマスイッチだわ。

No:19 2016/07/15 20:02 | keity #- URL編集 ]

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