憂春



小島ゆかりの歌集、続いて『憂春』を読む。これは2005年の作品。図書館にあるだけだとここまで。あとがきには、これは第7歌集と書いてあるが、最初の頃の歌集は、複数の図書館を検索したが、置いてなかった。
短歌を読む人が少ないのか。詠む人は多いのにね。県立図書館に行って短歌の書架を見ると実に様々な歌人の歌集が1冊ずつ並んでいる。俵万智とか、河野裕子とか、ぼくの知っている名前はごく少数で、ほとんどは初めて見る名前だ。
というわけで、小島ゆかりの短歌をもっと読みたいと思うのだが、歌集1から6は入手困難だ。アマゾンでもほとんど売っていない。

『憂春』で白眉は、圓生の落語「水神」を題材にした「おこうと杢蔵」という連作だ。30首ほどの連作で、「水神」のストーリーを上手く描いてみせる。ほかに説教節の「しのだづま」と「小栗判官」をモチーフにした連作もいい。物語に沿って歌を詠んでいくという上手い趣向を思いついたものだ。
連作はまとめて読まないと良さが分からないので、それ以外から、印象に残った歌をいくつか挙げる。

歳晩の鍋を囲みて男らは雄弁なれど猫舌である
りんかい線ホームに立てばよみがへるフラスコの中の空気のにほひ
タチウオであった場合の一生をおもへば遠き雲照り出づる
「ここからはひとりで行くわ」あの夏のわたしは誰に行いつたのでせう

2017/04/12 20:56 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

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