2羽のフクロウ



イートン校の生徒だった著者が2羽のフクロウのヒナを育てた体験談を語る。
たいへん面白い話だが、最初がちょっときついと思う。
ねずみや小鳥を餌として与えるのだが、最初からくちばしで食い切れるわけではないので、著者が細かく刻んで与える。この辺の描写は、田舎育ちのぼくも、さすがにきつかった。食事の前には読まないようにしたほうがいい。

イートン校は寄宿学校だが、著者は寄宿舎の自分の部屋でフクロウのヒナを育てる。
本の宣伝文句だと、著者がすべて育てたようにとれるが、そうではない。最初の何週間かは家で、動物好きの母親と妹が面倒を見たりする。また、長期の休みには家に連れ帰ったりもしている。
著者は家から寄宿舎にフクロウを運ぶ時、電車にいっしょに乗せている。いくら小さいとはいえ2羽のフクロウは目立つし、他の乗客に危害を加えるおそれもある。しかし、駅員は見て見ぬふりをしてくれる。タクシーの運転手も、しぶしぶであるが、駅からイートン校までフクロウを連れた著者を乗せてくれる。帰りも、友達に手伝ってもらって、2羽のフクロウを連れて、何とか電車で家まで帰ってくる。
この辺がいかにもイギリス的だ。のんびりしている……と思いながら読んでいくと、これは1959年の出来事だった。さすがに今のイギリスではこんな牧歌的なことはできないかも。
読売の書評で読んで、原書を買ってみた。書評だけ読むと最近の本かと思ったが、かなり以前に出ていた本なのですね。おそらく、ハリー・ポッター人気でフクロウが脚光を浴びているので、こんな何十年も前に出た本が新刊の翻訳として出てきたのだろう。
古い本だが、しかし、内容は古びていない。イートン校でフクロウを育てていく様子が生き生きと描かれている。まあ、2羽のフクロウたちと筆者の交流が描かれているだけだから、内容は古びようがないのだが。

『セルボーン博物誌』という本を思い出す。イギリスのセルボーンという田舎町に住んでいた牧師さんが、身の回りの動植物をひたすら観察した記録だが、こうした地味な本が、イギリスでは博物学の古典となっている。確かこの本でも、初めの方に動物を徹底して解剖している描写があったと思う。それで閉口して読むのをやめた記憶がある。
『イートン校の2羽のフクロウ』で、red in tooth and claw(牙や爪が血で赤く染まる)という言葉を引用している。自然界は弱肉強食だし、フクロウは基本的に生きたねずみなどしか食べないということは頭では分かっているが、非情の世界をありのままに描かれると、農耕民族の血が流れているぼくは少々たじろぐのである。

2017/06/23 17:56 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

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