学識



講談社学術文庫の新刊で、西郷信綱の『梁塵秘抄』が出ていた。
買おうかなと思ったが、文字が小さいので、図書館で全集を借りた。
この本、1976年に日本詩人選の1冊として筑摩書房より出たものの文庫化。ぼくは当時、日本詩人選で読んでいる。
日本詩人選では、作家や詩人や研究者が一人の詩人を取り上げて書いている。丸谷才一の『後鳥羽院』も、中村真一郎の『建礼門院右京大夫』も、大岡信の『紀貫之』も最初はこのシリーズで出た。続いて現代の詩人を扱った「近代日本詩人選」も出ている。吉本隆明が『宮澤賢治』を書いたり、佐々木幹郎が『中原中也』を書いたりしている。執筆者のラインナップが斬新だった。この顔ぶれだから、それぞれ切り込み方がユニークだった。
あの頃、筑摩はいい本をたくさん出していた。企画力があった。こういう本が売れたんだから、いい時代だった。

で、西郷信綱の『梁塵秘抄』。西郷は学者ではあるが、文学的なセンスがあり、解釈がユニークで面白い。
『梁塵秘抄』の歌を1つずつ、1つのエッセイで解釈しているが、その学識に舌を巻く。宇治拾遺物語、更級日記、枕草子などの大古典からマイナーな文献まで、一つ一つのエッセイで広く資料を読み込んでいるあとがうかがえる。
この言葉は、何々のどこ、この言い方は何々のどこ、と、いとも簡単に引用しているが、こういうことができるには、幅広く古典を読んでいて、しかも覚えていなければならない。これは並大抵のことではないのだ。
久しぶりに真の学識に触れた。

2017/10/07 21:59 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |