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文体も大事



「ヴィクトリア期英国のスラムに生きる」という副題がついている。
面白そうだったので、家に帰ってきてから、覚えてきた原題The Blackest Streetsで、アマゾンで検索してみた。
「なか見!検索↓」の印があったので英語版を覗いてみた。
後ろへ後ろへと続く、息の長い文章で引き込まれた。小説の書き出しのような文章だと思った。
翻訳がたまたま図書館に新刊として入っていたので、借りてみた。
翻訳を見て、あれ? っと思った。引き込まれないのである。
原因のひとつは、関係代名詞や接続詞で繋がっている長いセンテンスを意味の塊でぶつぶつ切って訳しているからだと思う。日本語がしっかりしているし、意味を伝えるだけなら立派な文章だと思うが、この報告書のような文体で400ページ以上読むのはきつい。
だからワイズはわざわざ小説のような書き方をしているのに。
そして文章が上手い。何も知らずにこの書き出しだけ読んだら、長編小説の冒頭かと思うだろう。
ワイズのこの本は一応ノンフィクションなので、、サミュエル・ジョンソン賞のノンフィクション部門などの候補に選ばれているが、イギリスの王立協会のオンダーチェ文学賞の候補にも選ばれている。この文体ゆえだろう。

社会科学系の本とはいえ、こういう面白い本は、文学作品が訳せる訳者にお願いしたかった。社会学の本とはいっても、内容だけではないのである。楽しんで読みたい。

2018/10/14 17:19 | エッセイCOMMENT(2)  TOP

コメント

Re: タイトルなし

ワイズの翻訳は今のところこの本だけです。
1830年代のロンドンの殺人と墓泥棒について書いたThe Italian Boyとか、社会学でこんなに面白くていいのという本をたくさん書いているようです。
イギリスの書評でも、描き方が素晴らしいというコメントが目立ちます。l
なので、もう少し色を付けて翻訳してほしかった。

No:69 2018/10/15 17:27 | desultory #- URL [ 編集 ]

ビクトリア朝のスラムですか。社会学の本?大学は社会学をやりたくて入ったので、面白そうですね。フランスのデュルケームとか、ドイツのマックス・ウェーバーが有名ですけど、イギリスの社会学者に、面白い人が多いような。(ブログ再開しました。ちょっと疲れが溜まっていて。。。)

No:68 2018/10/15 06:28 | Keity** #- URL [ 編集 ]

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