FC2ブログ

ショコラ



昨年読み始めた本を、年を越して読み終えた。
タイトルは『ショコラ』。600ページ近い長い本だったが、長さを感じなかった。
キューバのハバナ生まれの奴隷ラファエルが、ご主人の都合でヨーロッパに連れてこられ、いろいろあって、パリでサーカスのクラウンになる。芸名は肌の色から付けられたあだ名ショコラ。
ショコラはベルエポックのパリで唯一の黒人クラウンで、フランス人に絶大の人気があった。
ところが現代では全く忘れ去られていた。というか、葬り去られていた。
ショコラの存在を認めることは、奴隷制度や人種差別があったマイナスの歴史を直視しなければならないから。

アメリカ以外、南米や中米でも黒人奴隷がたくさんいた。ぼくたちはアメリカにしか黒人奴隷はいなかったと思い込んでいるが。そして、これらの地域で奴隷が解放されたのはアメリカよりも遅かった。こういう歴史、学校では習わないよね。

自由主義、人権などと言っても、ほんの100年前まで、黒人に対する差別意識を持っているヨーロッパ人がたくさんいた。本人はそうではないと思っているから厄介だ。今の時点で、フランスの知識人らの言動を見ると、それがよく見える。

ノワリエルは、ヨーロッパ人の無神経さ、差別意識に批判的だ。悪かったものは悪かったと書く。

資料が少ないので、ノワリエルの筆致は想像に傾きがちだ。それが功を奏している。歴史学の枠を超えて、面白い物語になっている。

翻訳もいい。数か所誤植があるし、若い訳者なので日本語表現の誤用もあるが。
以前取り上げた『塗りつぶされた町』の翻訳よりも面白く読める。

2019/01/08 21:30 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP |