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マープルの思考回路



ハーパーコリンズ版のペーパーバックの表紙が気に入ったので、クリスティの短篇集13 Problemsを買った。ハヤカワ文庫では『火曜クラブ』というタイトルで出ている。
この短編集、古くは新潮文庫から翻訳が出ていた。いや、いまでも出ているかもしれないが、書店ではとんと見かけたことがない。最初はパラフィン紙で覆われていただけだったが、のちにカラーのカバーが付いた。
おそらく、ぼくは最初の翻訳で読んでいる。何十年も前の話だ。家のどこかにあるはずだが、本の山に埋もれていて見つからない。

これはミス・マープルもの。火曜の夜に6人の人々が集まり、一人ひとり順番に自分が経験したミステリーを話していくという趣向。マープルの甥で作家のレイモンド・ウェストや弁護士、牧師、元スコットランドヤードの長官などがそれぞれ話を披露し、他の人たちが謎を解いていく。と言っても、謎を解くのはもっぱらミス・マープルなのだが。

なかに「聖ペテロの親指の跡」という短編がある。この話の語り手はミス・マープル。マープルがたまたま魚屋でhaddock(鱈)を見て、謎を解く突破口を見つけるというもの。
ハドックの体には黒い斑点があり、それは聖ペテロの親指の跡だと言われている。
ペテロが捕まえた魚(ハドック)の口から、イエスの予言通り銀貨が出てきたというエピソードから、ハドックの体の斑点を聖ペテロの親指の跡という。

しかし、マープルがなぜ聖ペテロの魚を見て、謎解きの突破口を見つけたのか、いまひとつわからないのである。英語の読解力がないせいかと思って、翻訳も読んでみたがいまひとつはっきりしない。
被害者が死の間際に言った言葉が専門用語だったため、それを1度も聞いたことがない召使が全く別の言葉に聞き間違える。マープルは、その聞き間違えた言葉から、逆に被害者が言った専門用語を突き止めて事件を解決する。
聞いたことのない言葉は、自分が知っている言葉に引き付けて聞こえることがある、ということに、ハドックを見て気が付いたと、マープルは言いたいのだろうと思うのだが……。

ペテロの魚(fish)とペテロの信仰(faith)、fishとfaithの音が似ているところから、知らない言葉は、自分が知っている、似ている音の言葉として聞いてしまうということを思いついたのか。

ネタバレにならないように書いたら、話がややこしくなってしまった。
気になる方は『火曜クラブ』を読んでいただきたい。

2019/05/15 17:58 | エッセイCOMMENT(0)  TOP

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