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使用人が必要だった。



考えてみれば当たり前のことだが、なかなかこういうことに思い至らない。

ヴェルサイユ宮殿は、そこに住む主人たち、つまり王侯貴族だけでは維持してゆけなかった。
そこには、4000人を超える使用人がいたという。
侍従、医者、身の回りを世話する人々、料理人、厩舎の管理、語学教師、消防士、神父その他大勢の人々が働きながら暮らしていた。

また、ヴェルサイユは宮殿を中心とする街だった。
宮殿内に住めない人々は街に住んでいた。

原著は1960年代に出た古い本だが、いまだに読み継がれているという。
日本語訳はこれが初めてのようだ
時々気になる表現はあるが、読みやすく、分かりやすい翻訳になっている。

筆者は古文書学の専門家だったそうだ。
当時の手紙、出生証明書などの教会の記録、メモ、領収書など、あらゆる古文書を精査している。
読んでいると、よくこれほど大量のメモなどが保存してあったものだと、感嘆する。
使用人が書いた手紙などどこかへ行ってしまうのではないかと思うのだが。

そして、これらの古文書を繙いて、興味深い話に再構成する筆者の筆力がこの本を面白くしている。

意外だったこと。
ヴェルサイユで働いていた使用人の一人は、長年仕えたことに対して年金を申請している。
革命で王制がひっくり返ったのだから、年金を欲しいと請求する対象そのものが無くなったのではないかと思ったが、そうでもないようだ。
フランス革命後もしばらくは、王制が維持されていたということか。

2019/07/06 22:28 | 本の紹介COMMENT(0)  TOP

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